相続財産の価格決定の根拠は何か?
価格マニュアル(財産基本通達)っていうものを国税庁が出しています。
それに従うということになります。
ここ文章があるので読んでみます。
「財産の価格は時価によるものとする」と書いています。
時価ですね。時価っていうのは何か?とこう説明したのですね。
時価とは課税時期において、課税時期というのは、例えば相続が発生したとすれば亡くなったときです。
タイミングとしては、死んだとき、あるいは贈与したとき、お金を渡したとき、贈与したとき、それを課税時期というふうに思ってください。
「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格をいう」と書いています。
たとえば、私はこれを100円で売るよ。俺もそれ100円なら買うよ。
100円で売買成立しました。
これが時価です。お互いがOKすればいい。
「価格はこの通達の定めによって評価した価格による。」とは?
これは国税庁の言った通りにしてくださいということ。
国税庁は私の言う通りにせよと言っているわけです。
「価格の評価に当たっては、その価格に影響を及ぼす全ての事情を考慮します」と、書いてあります。
これは、一番わかりやすい例でお話しますと、一般的には土地の価格というのは、路線価であると知っています。路線価です。
相続税法上は路線価です。
どういうことかというと、時価って言っておきながら路線価ってあるのです。
何が違うのかというと。
だいたい、時価の方が高いわけです。何割か時価の方が高い。
逆に何割か路線価の方が安いのです。
なぜそうなっているかというと、例えばその土地を売って相続税を払おうとしたとします。
そういったときにすぐ売れるとは限らないのですね。
あるいは、売っても手数料とか取られます。
なので、時価よりも安く設定してあるのです。
だからこれは国税から言わせるとそれは納税者有利ということになるわけです。
土地の評価をするときにも、「価格の評価に当たっては影響を及ぼす全ての事情を考慮します」っていうふうに書いてあります。
例えば土地にもいろんな土地があります。
例えば、こういう道路があって、ここに路線価表でいう例えば200とか書いていたりします。
これは1㎡当たり20万円ですよって言っているのです。
こういう四角い土地がありました。これが1㎡あたり20万円です。
300㎡ありました。そうすれば6000万円ですということになるのです。
でも、ここが坂道だったとするとどうでしょうか?
坂道だったら家を建てるのに不便ですよ。
ならばちょっとおまけしてあげますと、1㎡あたり20万円だけど計算の仕方でディスカウントするようになっています。
他にも田舎に行くとここに溝があったりして、道の横に水路があったりするときあります。
こういうときは1㎡あたり20万円より安くなります。
他にも、道路に面した土地ばっかりじゃないですよ。
世の中には同じ300㎡でもこういう土地もあるじゃないですか。図2参照。
こういう土地だと使いづらいわけです。見てのとおり入り口が短いです。
こういうとこは安くなるとか、そういうことを考慮すべき事情として考慮しますよということをいっています。
ここでは、国税庁の価格マニュアルは非常に合理的にできています。
ということを覚えといてください。
もう一つ覚えておかねばならないのは、このマニュアルによって評価することが著しく不適当と認められる価格は国税庁長官の指示を受けて評価するという一言なんですね。
これはどういうことかっていうと。
先ほどの土地とかの例なら簡単だからいいのですけど、そうではなくて色々な節税対策が世の中に出回っています。
この評価によるマニュアルに沿って、これでいいよっていわれていることであって、それに基づいて節税しました。
でも、それがあまりにも租税回避行為であると認められた場合は、それは否認しますっていう意味なのです。
そのときは国税庁長官が価格を決めます。ということです。
あんまり搦め手を使うと否認されますよっていうことになります。
だから、この最後の1文は、総則6項というのですけども、ものすごく大きいことなのです。
あんまりグレーなことをガンガンがやると一発でやられちゃうよということです。
最近それが多いですので気をつけましょう。グレーな手法を勧める業者には注意です。
これはちょっと余談でしたけど、コロナ禍以降そういうことがよくあります。
なので、我々は王道でいきます。
王道の話をこれからもしていきます。
今回は財産はこの価格マニュアルで決まっていますよということを覚えておいてください。
次回は、会社の業種のお話です。
社会保険労務士・行政書士・FP 大西英樹