事業承継のコア=円満相続
事業承継の基本は何かということですが
やっぱり、後継者の決定と教育ということになると思います。
ですが、ここはあまりお手伝いできません。
後継者の決定というのは基本的に社長さんがどう考えるかによるので、足を踏み込むことはできません。後継者の決定と教育は社長の仕事です。
2つめの、事業承継はオーナー社長(株主)の相続であるということが大事なところです。
会社の自社株っていうのは社長の個人の資産なのです。
位置づけとしては会社のものではないのです。
例えば、自宅の土地・建物とか、銀行預金とかそういうのと同じ扱いです。
従って社長の相続とか綿密に絡むわけです。
仮に事業承継をうまくやっても、その相続対策まで考えていかないと、最終的にボロボロになる可能性はあるわけです。
3つめです。
オーナー社長の持っている財産の中で一番値段のあるものって何か?
私の経験で見ると少なくとも60%、多ければ80%が自社株の評価だったりします。
特に優良企業であればあるほどこういうことが発生してくるわけです。
例えば、土地・建物とか銀行預金とか持っていますけども、それよりも遥かに大きな金額が自社株の評価だったりするわけです。
ですから、事業承継をするにあたって株の評価を知っておくというのは重要なことです。
自社株の評価っていうのは大きな問題になってきます。
「社長、ご自分の会社の株式の評価はいくらですかって?」と聞くとほとんど人は知りません。
何かの関係で株価を出さざるを得なくて出した人は別です。
でもそうじゃない人は知りません。
「高いと言われている」とか「めちゃくちゃ高いって言われている」と言う社長います。
めちゃくちゃって、どのぐらいからめちゃくちゃ高いか全然わかりません。
良くわかってない方が多いのです。
よくよく評価してみたら大したことなかったりする場合があったり、「大したことないと思うよ」って言ったらすごく高かったりします、全然わかってないのです。
これが現実です。
自分の持っている資産のうち自社の株の価格が大きなウエートを占めるにも関わらず、知らないっていう人がほとんどなのです。
4番目ですね。事業承継を相続で考えると分割が大きな問題となります。
つまり円満相続が必要となるということです。
ここも非常に大きなポイントです。
一般的に日本人は相続っていう言葉が出てくると、イコール相続税です。
相続税がいくらかかるかとかをすぐ考えます。
実は相続で一番重要なのは、税金よりも円満相続になるかならないかっていうことなのです。
相続には二つの側面があるということです。
二つの側面、一つは皆さんがすぐ思い浮かぶ相続税ということです。税務のことです。
もう一つの側面は分割の問題です。これは民法の扱いなのです。
民法上の扱いと税法上の扱いは全く別だということが、わかっていません。
ここを理解すると見えるものが違ってくるということです。
相続で考えると分割が大きな問題=円満相続が必要になる。
会社の株で揉めたりするとこれは非常に大きいです。
事業承継はオーナー家の相続と密接に絡むということです。
社会保険労務士・行政書士・FP 大西英樹