金庫株特例とは、相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合に、みなし配当として課税されるのではなく、譲渡所得として課税する特例です。
通常、個人が非上場株式を発行会社に売却した場合は、みなし配当として扱われます。みなし配当は、総合課税対象で最高税率55%となっており、所得税の負担は非常に大きいです。
一方、金庫株特例を適用すると、譲渡対価の全額が譲渡所得の収入金額となり、その収入金額から取得費および譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額の15%に相当する金額の所得税が課税されます。
金庫株特例の適用要件は、以下のとおりです。
- 相続により取得した非上場株式であること
- 譲渡対価の額が、相続税の申告期限(相続の日から10か月以内)までに確定していること
- 譲渡対価の額が、相続税の申告期限までに発行会社に納付されていること
金庫株特例を適用するには、譲渡する日の30日前までに、発行会社に「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を提出する必要があります。
金庫株特例は、中小企業の相続税負担を軽減するための救済措置として設けられたものです。
相続により非上場株式を取得した場合、金庫株特例を適用することで、所得税の負担を大幅に減らすことができます。
社会保険労務士・行政書士・FP 大西英樹