事業承継は相続である_事例②
二つ目の事例です。
これは、会社の株が高額すぎて大変なことになったというお話です。
図をご覧ください。
お母さんは先に亡くなっていて、お父さんと長男・次男・長女がいます。
お父さんは会社の社長です。
お父さんの会社は東京にあってけっこう優良な企業でした。
都内の一等地に土地も持っていました。
長男は銀行員です。後継者をする気はありません。
長男は会社にはノータッチです。
次男が後継者として、自他ともに認められています。
それで副社長になっていました。
ただ、会社の株は持ってはいなかったです。
長女は一般の家庭に住む主婦でした。
こういう家庭で、実際にお父さんの相続が発生したときに何が起きたか?
実は会社の株がすごく高かったわけです。東京の一等地に土地もありました。
どういうことが起きたかというと、専務である次男としてはもちろん株を全部相続したいわけです。経営者として当たり前ですね。
次男が会社の株を全部相続することについては、長男も長女も「それはいいのだけど」ということで特にもめることはありませんでした。
長男は銀行に勤めているので、いろんなことを銀行で聞くのでしょう。
「それはいいのだけど、法定相続分はちょうだいね」って次男は言われたわけです。
そうすると、法定相続分は3分の1です。
次男は株を全部もらっても、現金は全くないわけです。
会社の土地とかあっただろといっても、会社の土地は売るわけにもいかないです。
お父さんの個人財産のうち、分けられるものは長男と長女に分けました。
それでも法定相続分に足りないわけです。
それで、どうなったかって話なのですが、会社の株を渡したらといっても、株を渡したら今後の経営の問題が起きるのでできません。
結局、何が起きたかっていうと、次男は自分の持っている全ての資産を売却しようということになりました。自宅や車を売却、有価証券を売却、保険の解約金などです。
また、銀行からもお金を借りて、大きな借金をして長男と長女に払ったのです。
今はどうなっているかっていうと、次男である社長はですね、ワンルームに引っ越してアパートで暮らしています。
と、お金の面ではちょっと困ったことが起き、事業承継に関して何も対策していないとこういうことが起きるということです。
社会保険労務士、行政書士、FP 大西英樹