有給管理のコツ
はじめに
年次有給休暇の時季指定義務が始まってしばらく経ちますが、その実効性を確認すべき今年度にちょうど「コロナ禍」により、有休だけでなく働き方そのものの状況が大きく変わりつつあります。新年度を迎えるにあたり、これからの時代にマッチする有休管理方法について考察していきます。
有休に関する外部環境
年次有給休暇について特筆すべき外部環境の変化として①時季指定義務の開始と②コロナ騒動による雇用不安の増加が挙げられるでしょう。時季指定義務開始時の広報によって多くの人が「年間5日は少なくとも有休が取れるようになった」というイメージを持つようになりました。一方で、コロナショックで一部の企業業績が著しく落ち込んだこともあり、「有休よりも、そもそもいつまで雇用維持されるのだろう?」と人々が思うようになったのではないでしょうか。これらの外部環境から今後の有休管理の方向性を考えてみると、「有休付与による社員の安心を増やす」という方向性が見えてきます。
安心のためのコツ1:
有給休暇の「見える化」
年次有給休暇の取得を「会社にお伺いを立てて、会社が許可する」という「会社vs社員」という構造で運用していくと不満が溜まりやすくなります。それよりも、「社員同士でスケジュールを共有し、融通し合う仕組み」にしたほうが、有休に関する満足度が高まることが期待できます。
具体的には、有休を「取ることができていない人」を見える化したり、全員の有休付与日数と取得日数をグラフで一覧表示したりといった方法が考えられるでしょう。
これらの場合は、「全体としての目標」を社員全体に伝え、生産性を落とさずに達成できた場合何らかのインセンティブを与えるなどしても有効でしょう。
安心のためのコツ2:定期的注意喚起
会社として有休の取得状況をチェックし、取得が不足しそうな社員に対して注意喚起することも大切です。例えば、「付与日から半年経過で2日未満の場合」「9ヶ月経過で3日未満の場合」「11ヶ月経過で4日未満の場合」などのルールを決めて、有休取得を定期的に促すよう仕組み化していくと良いでしょう。
安心のためのコツ3:
戦略的な「特別扱い」
有休の取得は、業務負担の程度やプライベートの生活環境、個人の信条などにより大きく差があるものです。重要な任務を任されている人ほど有休が取りにくかったり、無趣味な人が有休取得を好まなかったりといった個別の事情に対して、特別な配慮を考えてもいいかもしれません。例えば、業務負荷が大きい社員が有休連続取得できるよう働きかける、または趣味に関連したちょっとしたプレゼントを用意して有休を楽しんでもらう、などの方法をとってみてはいかがでしょうか。